ドライアイとは
ドライアイとは、様々な原因で涙の量が減ったり、あるいは質が低下することにより、眼の表面にある角膜や結膜に障害を生じる状態です。眼の乾燥感、ごろごろする、シパシパする、眼が痛い、などの症状や、角膜に傷がつくことで視力が低下したり、眩しく感じる、等の症状を引き起こすこともあります。
ドライアイのチェックシート
ドライアイになると上記以外にも”眼が疲れる”といった症状も出やすくなります。以下のチェックリストで確認してみてください。
□目が乾いた感じがする
□目が疲れやすい
□何となく目に不快感がある
□光を眩しく感じやすい
□目やにが出る
□ものがかすんで見える
□目が痒い
□目がごろごろする
□目が赤くなりやすい
□目が痛い
□目が重たい感じがする
□理由もなく涙が出る
涙液の働き
正常では涙液の構造は上図のようになっており、涙液によって目の表面は覆われています。まばたきをすることで涙が一定の厚みを持って目の表面を保護しています。涙液には以下のような働きがあります。
正常では涙液の構造は上図のようになっており、涙液によって目の表面は覆われています。まばたきをすることで涙が一定の厚みを持って目の表面を保護しています。涙液には以下のような働きがあります。
ドライアイの原因
ドライアイは涙液量の減少に加えて、涙液のムチン量が減少することによりムチン層を覆う水層が不安定な状態となり、角膜および結膜上皮に障害を生じた状態と考えられています。
涙の量の減少、質の低下
加齢により涙の分泌が減り、また涙の質も低下します。
シェーグレン症候群
中年女性に多い自己免疫疾患です。自己抗体により唾液腺や涙腺が攻撃されて破壊され、唾液や涙の分泌が減少します。重症の場合は角膜障害がひどく、痛みや視力低下を伴います。また、その他の原因による二次性のシェーグレン症候群もあります。
瞬きが少ない
パソコン画面やスマートフォンなどを見るVDT(Visual Display Terminals)作業のときは極端に瞬きが減ります。一定の間隔で瞬きをすることで涙は眼の表面を覆っています。瞬きをしないと涙が蒸発してしまい、ドライアイになります。
乾燥した環境
空気が乾燥する冬場にはドライアイになりやすくなります。
度が高い夏場でもクーラーの風が直接当たるとドライアイになります。。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズを装用すると、水分の蒸発量が増えてドライアイになりやすくなります。特にソフトコンタクトレンズでドライアイになりやすくなります。
その他
薬の副作用等で涙の分泌量が減ることがあります。
ドライアイの検査
シルマーテスト
涙の量を測る検査です。以下のような紙を下まぶたに挟み、5分間で濡れる紙の長さで涙の量を判断します。10mm以上が正常で、5mm以下だと涙の量が少ないと判断されます。
BUT(Break Up Time)測定
涙の安定性を調べる検査です。眼の表面を特殊な染色液で染色し、2-3回瞬きをした後、しばらく瞬きをしないで眼を開けたままにします。涙の膜が破壊されて角膜が露出するまでの時間を測ります。BUTは10秒以上が正常で、5秒以下だと涙の安定性が低下していると判断されます。
角膜・結膜の染色検査
ドライアイがひどくなると角膜や結膜が傷つくことがあります。上記同様の染色液で染色すると、傷ついた部分に染色液が染まり、傷の状態がわかります。
ドライアイの治療
点眼治療
第一に目薬による治療を行います。人工涙液(涙に近い成分の点眼薬)やヒアルロン酸点眼(水分を保ち、傷ついた角膜表面を直します)、また最近涙の層のひとつで、涙を角膜表面にとどめておくのに重要な“ムチン”を増やし、涙の安定性を向上させる点眼も出ています。これらを組み合わせて点眼治療を行います。多くのドライアイでは点眼治療のみで軽快します。
涙点プラグ
上記点眼治療のみでは軽快しない重症のドライアイに対する治療です。涙の排出される涙点にシリコン製のプラグで栓をして、涙が眼の表面に強制的にとどまるようにします。
ドライアイの予防
ドライアイは、現在我が国には約800万人の患者さんがいると言われていますが、生活環境の変化に伴ってさらに増加傾向にあります。
ドライアイは生活環境から起こることも多いものです。普段からドライアイになりにくいように心がけることで症状が和らぐ可能性があります。
・VDT作業をするときには意識して瞬きをしっかりする(回数を多く、しっかり眼を閉じて涙が眼の表面全体に行き渡るように深く瞬きをする)。
・長時間のVDT作業では適度に休憩を入れる(眼をつぶっておくのが効果的)。
・エアコンの風が直接当たらないようにする。
・加湿器を使って湿度を上げる。
・コンタクトレンズを装用するときには人工涙液等を併用して乾燥を防ぐ。