アレルギー性結膜炎とは
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に何らかの外来異物(アレルゲン)が付着して、それに対するアレルギー反応で結膜炎を起こす病気です。アレルゲンとしては花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、ペットの毛、コンタクトレンズ等多くあります。花粉などが原因で特定の季節にのみ症状が出現するものを季節性アレルギー性結膜炎、1年中症状があるものを通年性アレルギー性結膜炎と言います。
アレルギー性結膜炎と診断されたことのある患者数は我が国では約2,000万人とされており、その約85%が花粉によるアレルギー性結膜炎と言われています。ここでは花粉によるアレルギー性結膜炎を中心に説明します。
花粉症の場合、最も原因として多いのはスギ花粉ですが、その他にもヒノキ、イネ科(カモガヤ)、ブタクサ、ヨモギ等があります。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎では以下のような症状が出現します。
目の痒み
最も代表的な症状です。目そのものが痒くなることもあれば、まぶたやまぶたの縁が痒く感じることもあります。
目の充血
アレルギー反応で結膜(白目)の血管が拡張することで充血します。また結膜が腫れる(浮腫)こともよくあります。
目の異物感
ごろごろした感じが出ることがあります。これはアレルギー反応でまぶたの裏に乳頭と呼ばれる凸凹が出るためです。ひどい場合にはこれによる角膜が擦れて角膜に傷が入ることもあります。
目やに
頻度は多くないですが目やにが出ることもあります。
アレルギー性結膜炎の検査
アレルギー性結膜炎の原因となるアレルゲンを調べる方法があります。指先等から採取する程度の微量の血液から検査可能です。ご希望の方はご相談ください。
アレルギー性結膜炎の治療
アレルギー性結膜炎の治療の基本は薬物療法で、まずは点眼薬を用います。日常生活に支障が出ないように、痒みを抑える治療となります。
1.ケミカルメディエーター遊離抑制薬
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンなどの物質(ケミカルメディエーター)が出ないようにします。
2.ヒスタミンH1受容体拮抗薬
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンが、組織に存在する受容体にくっつくのを予防し、アレルギー反応を起こすのを抑えます。
3.ステロイド薬
上記1, 2の治療を行っても症状が治まらない場合にはステロイドの点眼を追加します。“ステロイド”と言うと副作用が怖いと思われる方も多いのですが、適切に使用すれば非常に効果的な薬です。定期的に眼科受診することで副作用が確認されれば中止することで元に戻りますのでご安心ください。
4.内服薬
上記点眼を用いても症状が治まらない場合には抗アレルギーの内服薬を組み合わせることも有効です。
5.免疫抑制薬
よく臓器移植の時に使用する薬として免疫抑制薬というのを聞いたことがあると思います。強力に免疫を抑制する薬ですのでアレルギーが抑えられます。幼稚園児から小学生にかけて時々見られるアレルギー性結膜炎の中でも最も重症の“春季カタル”という状態の時には上記点眼に加えて使用することがあります。
最近では“初期療法”という考え方があります。花粉によるアレルギー性結膜炎は発症の時期が予測出来るので、症状が現れる前の、花粉飛散の約2週間前から抗アレルギー点眼を開始する方法です。これにより症状が和らぐことが期待でき、さらにはステロイド薬等より強力な点眼まで使わなくてもよいことも期待出来ます。スギ花粉はだいたい1-2月頃から飛散し始めますので、年が明けたら眼科受診して点眼薬治療を開始するのがよいでしょう。
終わりに
花粉症に悩む人は年々増加しています。これには花粉症の原因として最も多いスギ花粉の飛散量が増えていることが影響しているとも考えられています。スギ花粉飛散量は前年の天候に大きく左右されます。花粉情報等も参考にしながら早めの対策を取ることが大切です。
それには上記に挙げたように、“初期療法”が重要なのですが、生活の中でも花粉に出来るだけ接しないようにする工夫をしましょう。
・外出時には眼鏡、マスク、帽子を着用する
(花粉症対策用のゴーグルタイプの眼鏡があります)
・帰宅時には衣類を付いた花粉を十分に落とす
(花粉が落ちやすいナイロン生地のコート等がお勧めです)
・帰宅時にはうがい、洗顔、出来れば洗髪もする
・花粉の多い日は洗濯物を外には干さない