眼精疲労とは
単に目が疲れる“目疲労”という状態は、ゆっくり休んだり十分に睡眠を取る等の休息で自然に解消します。
それに対して“眼精疲労”という状態は、目の疲れが原因で眼痛、目がかすむ、眩しい等の目の症状に加え、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、全身倦怠感等の全身症状が出現し、それが慢性的に繰り返します。休息や睡眠を取っても十分に回復せず、何らかの改善策を取らないと改善しません。
眼精疲労の原因
眼精疲労は様々な原因で引き起こされます。代表的なものを以下に示します。
合わないメガネやコンタクトレンズを使っている
度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使用していると、特に近くのものを見るときに無理にピントを合わせる状態になってしまうため目が疲れやすくなり、またピントが合いにくいと姿勢が悪くなることで首や肩が凝ったりしやすくなります。
ドライアイ
ドライアイとは、様々な原因で涙の量が減ったり、あるいは質が低下することにより、眼の表面にある角膜や結膜に障害を生じる状態です。ドライアイを引き起こす原因は様々ありますが(ドライアイの項参照)、特に現代ではパソコンやスマートフォンを見る(VDT作業)機会が増えており、それにより瞬きが極端に減って目の表面が乾く状態になります。ドライアイも直接眼精疲労の原因になります。
白内障や緑内障等の目の病気
白内障になるとまぶしさを感じたり、視力が低下してきます。また緑内障になると視野が狭くなったり、さらに進むと視力が低下します。このように見にくい状態になり、一生懸命ものを見ようとする機会が多くなると眼精疲労を引き起こすことがあります。
斜視や斜位
両目の視線が一致せずに左右の目が別々の向きを向いている“斜視”や、ものを見るときには視線は一致するものの、ぼんやり見ているときには視線がずれている“斜位”の状態が存在すると、ものを見るときに視線を合わせる努力をしてしまうために眼精疲労の原因になります。
以上代表的なものを示しましたが、この他にも自律神経失調症、耳や鼻の病気、糖尿病や高血圧等から来る循環障害、精神的ストレス等から眼精疲労になることもあります。
眼精疲労の治療
眼精疲労に対してはビタミン剤等の点眼薬や内服薬がある程度有効なことはありますが、特効薬というものはありません。眼精疲労を引き起こしている原因を特定し、それらを改善して眼精疲労を予防することが肝要です。
・メガネやコンタクトレンズが合っていなければ、合ったものに作り直す。
・VDT作業における眼精疲労の予防
1.定期的に目を休める。この時遠くをボーッと眺めると疲労回復になります。
2.極端に瞬きが減っていることが多いので、意識して瞬きをしてドライアイを予防する。
3.同じ姿勢で肩や腕、腰に負担がかかって凝り固まっていることも多くありますので、休憩時に全身の筋肉を動かすことも眼精疲労の予防になります。
4.その他周囲の環境を整えることも重要です。加湿器等で乾燥を防ぐ、体格や楽な姿勢に合わせて机・椅子の高さの調整、ディスプレイの角度の調整等。
・目の病気がないか、定期的に眼科でチェックする。
・身体の病気がないか、定期的に内科受診や健康診断等でチェックする。
・食事に気をつけて偏食を避け、また水分を十分に摂取する。
・スポーツや趣味等でストレスを発散する。
最後に
近年IT社会化によりパソコンもスマートフォンも職場だけでなく家庭でも急速に普及しています。このため業務上以外でもVDT作業は急速に増えています。こういった社会情勢を背景に眼精疲労患者は確実に増加しています。眼精疲労まさに現代病と言えます。眼精疲労を引き起こす原因には様々ありますが、それらがいくつか重なって起こることが多いです。眼精疲労の治療には詳細な問診や診察によりその原因を特定し、それらを取り除いていくことがとても大切です。眼精疲労を感じたら、その原因となっているような他の目の病気がないかの検査も含め、眼科受診するようにしましょう。