近視や遠視、乱視の矯正法として最も一般的なのは眼鏡とコンタクトレンズです。それぞれに利点、欠点があります。ひじおか眼科では、コンタクトレンズ処方、眼鏡処方も行っています。
コンタクトレンズとメガネの比較
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コンタクトレンズ |
眼鏡 |
利点 |
・スポーツに適している(ソフトコンタクトレンズ)
・近視が強くても視力が出やすい
・視野が広い
・強い乱視や、円錐角膜等でも矯正可能(ハードコンタクトレンズ)
・不同視(左右の度数の差が大きい)でも矯正可能
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・簡便
・取り扱いに注意は不要
・目の合併症は起こらない
・定期検査は不要
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欠点 |
・目の合併症(感染症等)が起こることがある
・取り扱いに注意が必要
・定期検査が必要
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・スポーツには適さない
・近視が強いと視力は出にくい
・視野がやや狭くなる
・円錐角膜等では矯正は困難
・不同視では矯正困難
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以上のようにそれぞれ利点・欠点があります。ご自分に合った矯正法を選ぶとよいですが、ただコンタクトレンズは直接目につけるもので目にとっては負担もかかります。またコンタクトレンズでなんらかの目の合併症が起こったときに、無理にコンタクトレンズを使い続けるとどんどん悪化することもあります。基本的には眼鏡も持った上で、コンタクトレンズは必要に応じて使うもの、とお考えください。
眼鏡処方
最も簡便に屈折異常を矯正出来るのが眼鏡です。コンタクトレンズを使用する人でも眼鏡は必ず持っておく必要があります。
私たちの目は年齢と共に屈折が変化します。生まれたときは遠視気味で、成長と共に近視化します。成人になると屈折変化は多くの場合止まりますが、40歳を過ぎると今度は老眼が出て来ます。その他白内障や緑内障になったりすると眼鏡をかけても視力が出にくくなったりします。このため年齢に応じて眼鏡は作り替える必要があります。また斜視等あればプリズム眼鏡等特殊な眼鏡が必要なることもあります。
ひじおか眼科では年齢や目の状態に合わせた眼鏡合わせも行いますのでお気軽にご相談ください。
コンタクトレンズ処方
コンタクトレンズには大きく分けてハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
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ソフトコンタクトレンズ |
ハードコンタクトレンズ |
利点 |
・異物感が少なく装用感がよい
・初めての方でも慣れやすい
・激しいスポーツに適している
・種類が豊富
・使い捨てがある
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・乱視が完全に矯正出来る
・円錐角膜等でも矯正可能
・ソフトコンタクトレンズよりも視力が出やすい
・酸素透過性が高い
・目の少しの異変でも気付きやすい
・耐久性に優れるので経済的
・取り扱いが簡単
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欠点 |
・乱視の矯正には限界がある
・円錐角膜等では矯正不能
・目に異変が起こっても気付きにくい
・汚れが付きやすい
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・異物感があり、慣れが必要
・ずれやすい
・長期使用で眼瞼下垂が起こることがある
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近年は使い捨てのソフトコンタクトレンズが主流になってきており、コンタクトレンズ使用者の90%以上がソフトコンタクトレンズ、さらにその中でも使い捨てレンズ使用者が90%以上を占めています。使い捨てソフトコンタクトレンズには1日使い捨て、2週間使い捨て、1ヶ月使い捨て、等があります。1日使い捨てレンズは洗浄消毒が不要で1回使用後は新しいものに取り替えるので、正しく使用すれば最も清潔で最も合併症のリスクの低いコンタクトレンズと言えます。
角膜は空気中の酸素を取り込んで“呼吸”しています。コンタクトレンズは酸素透過性というものが数値化されています。酸素透過性はもともとハードコンタクトレンズの方がソフトコンタクトレンズに比較し優れていましたが、近年酸素透過性の非常に高いシリコンハイドロゲルという新素材の使い捨てソフトコンタクトレンズが登場し、酸素透過性は飛躍的に向上しました。ハードコンタクトレンズと比較しても遜色ないレベルになっています。また、老眼が出て来ると遠近両用眼鏡をかけたりしますが、遠近両用のコンタクトレンズもあり、ハードとソフト両方あります。レンズの中心部分から遠く用、近く用の部分が同心円状に交互に配置された構造になっており、やや慣れが必要です。
コンタクトレンズ装用による眼障害
コンタクトレンズは直接角膜や結膜に触れるため、場合によっては目に障害を起こすことがあります。コンタクトレンズによる眼障害の代表的なものに以下のようなものがあります。
角膜上皮障害
角膜の表面にある上皮が傷ついた状態で、コンタクトレンズによる眼障害としては最も一般的なもののひとつです。レンズの傷や汚れ、レンズ下の異物、ドライアイ、その他コンタクトレンズの過装用(装用したまま寝てしまった、等)などが原因となります。
アレルギー性結膜炎
コンタクトレンズによる眼障害として最も代表的なもののひとつです。コンタクトレンズの機械的刺激や汚れによるアレルギー反応で、まぶたの裏側に乳頭と呼ばれる凸凹が出来ます。強い痒みの症状を引き起こしたり、凸凹がひどい場合には角膜表面が傷つくこともあります。重症の場合にはコンタクトレンズ装用をしばらく中止して治療しないと治らない場合もあります。
細菌性角膜炎・角膜潰瘍
角膜にちょっとした傷があり、そこへ汚れたコンタクトレンズを装用したりすることで細菌が角膜に侵入し角膜炎や、重症の場合には角膜潰瘍を起こすこともあります。コンタクトレンズの間違った使い方をすることが原因となることが多くあります。早急に適切な治療をしないと重度の視力障害が残ることもあるので注意が必要です。
アカントアメーバ角膜炎
コンタクトレンズに付着したアメーバが、角膜のちょっとした傷から感染して起こります。非常に難治性の感染症で、治るのに非常に時間がかかるばかりでなく、治っても重度の視力障害が残ることが多いです。ソフトコンタクトレンズの誤った使用が原因のほとんどです。
角膜内皮障害
角膜は透明な組織で、透明であるが故に私たちは物を見ることができます。この角膜の一番内側にある角膜内皮細胞は角膜が透明性を維持する為にとても重要な細胞です。コンタクトレンズの過装用により、角膜が慢性的に酸素不足の状態になると角膜内皮細胞は徐々に減少します。高齢になって白内障手術が必要となったときに、角膜内皮細胞が少ないと手術が出来ないこともあります。
最後に
コンタクトレンズは様々な種類があります。当院では患者様の目の状態、生活スタイル、年齢等考慮し、患者様に一番合ったコンタクトレンズを提案し、処方しますのでお気軽にご相談下さい。コンタクトレンズは眼鏡よりも美容上優れているので、特に若い方を中心に使用する方は多いです。しかし眼鏡と違って、コンタクトレンズは直接目に乗せて使用する医療用具です。誤った使い方をすると取り返しの付かないことになることがあります。
このようなトラブルを避けるためには、コンタクトレンズは販売店ではなく、眼科を受診して処方を受けてください。コンタクトレンズを正しく使用することは当然ですが、特に異常を感じなくても3ヶ月に一度程度は眼科を受診して目の健康状態のチェックを受けて下さい。また少しでも異常を感じたら無理にコンタクトレンズを使用せずに早めに眼科受診することをおすすめします。